『転生王女と天才令嬢の魔法革命』にものすごくハマった話

※『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のネタバレを含みます。

2023年1月からTVアニメ『転生王女と天才令嬢の魔法革命』が放送されていました。

アニメ版はシリーズ構成に『俺ガイル』で有名な渡航先生が参加されており気になっていたため最近一気見したのですが、非常に面白くて非常に好みの作品でしばらく『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のことしか考えられなくなるほどでした。

ハマりすぎてアニメ見た勢いで原作小説のweb版と書籍版とコミカライズ版をすべて読破したので、感想等を雑多に書いていきたいと思います。

 

・『転生王女と天才令嬢の魔法革命』公式リンク

・小説web版(小説家になろう)

https://ncode.syosetu.com/n8558fh/

・小説書籍版(ファンタジア文庫) 

転生王女と天才令嬢の魔法革命 | 特設ページ | ファンタジア文庫

・TVアニメ公式サイト

TVアニメ「転生王女と天才令嬢の魔法革命」公式サイト

・コミカライズ版(コミックウォーカー)

転生王女と天才令嬢の魔法革命 無料漫画詳細 - 無料コミック ComicWalker

・TVアニメの公式設定資料集が発売決定(買うのだ!)

「転生王女と天才令嬢の魔法革命 設定資料集」ファンタジア文庫編集部 [画集・ファンブック] - KADOKAWA

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・『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のここが好き!!

キャラ設定とこれを活かすストーリーが最高すぎました。

本作は「魔法に憧れ魔法を愛しているにも関わらず自身は一切魔法が使えない王女アニスフィア」と「魔法と文武のすべての才を持ちながら与えられた役割をこなすだけの令嬢ユフィリア」の二人が苦難を乗り越えながら結ばれる王宮百合ファンタジーです。

もちろんこの二人は愛し合って結ばれるのですが、この二人が結ばれることには他にも意味があります。それは「魔法に嫌われ続けたアニス」が「魔法を熟知し使いこなすユフィ」と結ばれることで初めて魔法に認めてもらえたことです。

アニスはユフィと結ばれるまでとにかく否定され続けます。しかも国の状況・権力闘争・本人の性格など複数の要素が原因となっており一筋縄では解決できない状況でした。さらに原因を生み出している人たちもみんながみんな悪意があるわけではなく、ほんの少しのすれ違いや環境の違いによって対立や孤立を生み出しており手詰まりの状況でした。

しかし、ユフィと結ばれることでアニスの縛り付けていたすべての問題がほぼ解決します。未読の方は話が飛躍しすぎて意味が分からないと思いますが、事実です。逆にユフィと結ばれることでアニスの問題が解決されるという緻密な設定とこれを納得させるストーリーが本当に素晴らしいと感じます。

他にも1つの出来事が複数の意味を持ったり後の伏線となることが多々あり、特にこのキャラクターだからこそ成しえたと納得させられる出来事が多く、サブキャラクターにも感情移入しやすくなっています。このようなキャラ設定とストーリーのかみ合いが本作の魅力だと感じました。

 

・『転生王女と天才令嬢の魔法革命』のTVアニメを見ろ!!

前述の通りアニスとユフィが結ばれる話なのですが、アニメはしっかりアニスとユフィが結ばれるところで終わります。小説ではその続きもあるのですがアニスとユフィが結ばれてからのアニスはユフィという精神的支柱を得ることで非常に安定するため、個人的に本作の一番の見どころはアニスとユフィが結ばれるまでの話だと思っています。

アニメは個人的には他の媒体と比べて最もわかりやすく、素晴らしい完成度です。若干原作改変やカットやアニオリがありますが、すべては登場人物の心情をわかりやすくするためのものと考えています。私はアニメ9話以降はずっと泣きながら見ていました。本当に感動しました。

たまにアニメではまった後原作読むと、原作の方が素晴らしくてアニメでは物足りなくなることがあるのですが、本作は全媒体読んだうえでもアニメの感動はまったく薄れませんでした。むしろアニメ版の素晴らしさを再認識するほどでした。シリーズ構成、大きな作画崩れがないことなど良い点を挙げればきりがないですが、個人的には主要キャラの声優の演技が本当に素晴らしいと感じました。特にアルガルドとユフィリアは心に刺さる場面が多くて最高でした。

 

・TVアニメは小説の何巻に該当するのか

アニメの範囲は小説ではweb版が第1部、書籍版は1巻~3巻の内容に該当します。アニメの内容は書籍版準拠でweb版とはかなり時系列が異なる部分があります。

 

・TVアニメと書籍版の違い

アニメの内容は書籍版準拠ですが若干異なる部分があります。主な違いは以下の通りです。

・前日譚がある

・ティルティの出番が増加、これに伴いトマスの出番が減少

・ネルシェル、ナヴルの出番がカット

恐らくですが尺が限られるアニメ版では意図的に主要登場人物に出番を集中させることで感情移入させやすくしているのだと思います。ちなみにコミカライズ版の内容も書籍版準拠となっています。アニメ版と異なり書籍版にかなり忠実に描かれています。

 

・web版と書籍版の違い

アニメ版と違い、web版と書籍版はかなり異なります。

時系列順のweb版と書籍版の主な違い

web版と書籍版の違いを簡単に上記の表にまとめてみました。web版1部+後日談・外伝の内容が書籍版の1巻~4巻に該当します。表のweb版行の赤字が書籍版で時系列が移動した出来事になります。その他の出来事は時系列的にはweb版と書籍版は同じとなっています。ただし、同じ出来事でも内容が異なる場合もあります。(ユフィがアニスとアルガルドをグーパンしたり…)

・web版と書籍版の違いの詳細

書籍版の1,2巻まではそこまで大きな違いはありませんが3巻以降はweb版とかなり違いがあります。書籍版の各巻の変更点は以下の通りです。

1巻:ユフィと協力してドラゴン討伐する。web版ではスタンピード発生のみでドラゴンはアニス単独で物語開始前に討伐済み。

2巻:web版1部2章とほぼ同じ内容。

3巻:ユフィが養子→精霊契約→女王即位と1つの出来事としてまとまっている。web版ではユフィが養子となることが1部3章、精霊契約の真実が1部4章の内容となっており、アニスとユフィは2回喧嘩する。

4巻:web版1部3章4章のうち、3巻でカットした内容にweb版1部5章と後日談・外伝の内容を組み合わせた構成。

5巻:ほぼ書き下ろし。アルガルドとアクリルの出会いがここに収録。

6巻:web版第2部5章6章の内容。web版2部の1章~4章は全カット。

 

・web版を読んだうえでの書籍版の印象

ここまでweb版と書籍版の違いを書いてきました。変更して良かった点・悪かった点あると思いますが、これらの変更に伴いどういった印象を受けたのかは以下の通りです。

①ユフィと協力してドラゴン討伐したことでアニスが継承するドラゴンの力の重要性がわかりやすくなった。

②王位継承の話がまとまったことでわかりやすくなった。

③逆にガーク、ハルフィス、ミゲルの出番がユフィ王位継承後になったため、感情移入しにくくなった。

④web版2部序盤が全カットのため、2部主要キャラのシャルネ・プリシラの出番はほぼなし。ルエラやサラン、ファルナ、といったサブキャラの出番もなし。

⑤web版1部では出番の多かったネシェルの出番が減少。web版→書籍版→アニメ版とどんどん出番が減っていく…

⑥逆に書籍版ではイリアとアルガルド、ティルティの描写が増加。ティルティはweb版→書籍版→アニメ版とどんどん出番が増えている…

⑦ユフィとアルガルドの仲が悪い

⑧アニスとユフィが結ばれてからweb版以上にアニスが落ち着いている。

雑多に書きましたが、結論としては尺の都合でハイファンタジーから百合重視に再編集した印象です。書籍版はもちろん商業のため常に打ち切りの可能性を抱えています。web版の2部以降はハイファンタジーの側面が強く2部全体で一つの大きな物語となっており途中で切りにくくなっているため、商業用に再編集した結果、百合重視(アニスとユフィ中心)の内容になったのではないかと考えています。

そして、アニメ版同様尺が限られる書籍版でも主要人物に出番を集中させることで感情移入させやすくした分、サブキャラの大幅削減に至ったと考えています。web版のサブキャラは設定が緻密でかなり濃い役割を担っていることが多く魅力的ではありましたが尺を考えると難しいところかと思います。また、アニスがweb版以上に落ち着いているようにみえることも、書籍版再編集に伴い生じた辻褄合わせをアニスが担っていることが理由と考えています。

 

・全体の所感

ここまでも各媒体ごとの違いを中心に本作の感想を書いてきましたが、ここからはさらに雑多な感想を書いていきたいと思います。

・アニスが倒したドラゴンについて

ドラゴンの力をアニスが継承したことは物語に非常に大きな影響を与えています。アニメでもヴァンパイアの力を看破する役割を担っていましたが、本作のラスボスに該当するライラナを倒す役割もこのドラゴンの力が担います。こんなに重要かつラスボスを倒せるほど強力な力にもかかわらずweb版では「昔アニスが一人で倒した」と文章であっさり処理されてしまっています。さすがに不自然すぎたので書籍版やアニメのようにユフィと協力して倒した方が自然な展開になったと感じました。

・ユフィの母であるネシェル夫人について

ここまで散々出番が減っていると書いてきたネシェルについてですが、個人的には好きなキャラの一人です。アニス及びユフィの両親が魅力的なキャラであることはアニメを見た方には理解いただけると思いますが、これに漏れずネシェルも魅力的なキャラだと思っています。特に作中トップクラスに百合に寛容な点や魔法の才能がある上にアニスのような現代的な視点を持ち合わせている点が、ユフィがアニスと相性が良かったことの裏付けになっているのではないかと感じました。

・ティルティとミゲルについて

作品の辻褄合わせ役であるティルティですがweb版の序盤は出番がなく、全てアニス一人で解決したことになっているため、アニスが万能すぎて違和感がありました。ドラゴン同様に書籍版やアニメのようにアニスの協力者として序盤からティルティが活躍する方が自然な展開だと思います。また、王位継承編(書籍版では4巻)から魔法省攻略のためアニスたちに協力する人物の一人であるミゲルについても作品の辻褄合わせ役と認識しています。ただ、魔法省攻略の詳細はweb版でも1部と2部の間の出来事として飛ばされているため、どの媒体でもティルティに比べて出番が少ないです。個人的には活躍の伸びしろが非常にあると思っているので、ミゲル中心の外伝があれば読んでみたいと思っています。

・書籍版のユフィとアルガルドが仲悪いすぎることについて

正確には恋のライバル的な関係だと思うのですが、とにかく仲が悪いです。web版ではそもそもユフィとアルガルドが言葉を交わす機会が少ないため、実はweb版でも書籍版と同じような関係性だったのかもしれませんが、書籍版を読んだとき口が悪すぎて驚いてしまいました。婚約破棄の件については廃嫡時に和解したと認識していたのでお互いの関係にしこりはないと思うのですが、とにかく意外でした。

・web版と書籍版の王位継承編について

個人的に本作最大の見どころである王位継承編ですが、登場人物の心理や設定が複雑で難しい内容でもあると思います。書籍版ではweb版に比べてわかりやすくなったと記載しましたが、2部以降の物語を考えると2部の伏線も内包しているweb版も魅力的であり、書籍版web版の双方に良い点悪い点があると感じています。

 

・『転生王女と天才令嬢の魔法革命』シリーズの今後の展開

最後に『転生王女と天才令嬢の魔法革命』シリーズの今後の展開について個人的な希望を勝手に書いていこうと思います。

まず、コミカライズ版ですがコメディからシリアスまで非常に安定したクオリティで素晴らしいので末永く続いて欲しいと思っています。物語の進行具合ではアニメ版より遅くアルガルド反乱編の途中のため、せめてアニメと同じくユフィが王位継承するところまで続いて欲しいと思っています。応援してます。

次にTVアニメ放送中に発表された書籍版7巻の発売決定についてですが、この7巻の内容が全く予測できません。というのも書籍版6巻でweb版のラスボスであるライラナを倒しているため、web版準拠であれば書籍版6巻の時点で物語がほぼ完結していることになります。web版の話を持ってくるのか完全書き下ろしになるのか、後日談のような小話で終わらせるのか新章がスタートするのか、非常に注目です。ただ、前述の経緯からweb版から大幅に話を練り直さないといけないと思うので7巻の発売は結構先になるのではないかと思っています。気長に待ちましょう。

最後にTVアニメを見た人に言いたいこととして、web版も読んで欲しいということです。TVアニメは書籍版とコミカライズ版に準拠しているため、web版は結構内容が異なるのですが、2部のほんとにラストまできれいに物語が集束して終わるので読破したときの満足感と納得感が素晴らしいです。アニスが終始一貫して掲げていた「魔法は誰かを笑顔にするためにある」理念に対して「魔法に憧れた全ての人たちに、祝福あれ」で終わるのは本当に綺麗すぎます。百合が好きな方にはがっかりされるかもしれませんが、ハイファンタジーとして『転生王女と天才令嬢の魔法革命』の世界にどっぷりハマるならweb版は必読だと思います。

本当に『転生王女と天才令嬢の魔法革命』という素晴らしい作品を生み出していただいた関係者各位には感謝の言葉しかありません。これからも応援したと思いますので、末永く本シリーズが続いて行けば嬉しいなと思います。